生活費の内訳の出し方|1か月の支出を国の10の費目に並べ、平均は範囲をそろえて見る

生活費は、毎月の合計の額は分かっていても、何にいくら使っているかまでは見えにくいものです。口座やカードの明細には、家賃も、貯金の口座への移し替えも、同じ「出ていったお金」として並んでいます。
この記事では、1か月の支出を国の家計調査と同じ10の費目に並べ、生活費の内訳を出す手順を書きます。あわせて、世帯の人数ごとの国の平均と、平均と比べるときに範囲をそろえる方法もまとめました。
毎月いくら使っているのか、ざっくりとしか分かりません。ほかの家と比べて多いのかも気になりますが、何から数えればいいのか迷います。
生活費の内訳は、国の10の費目で出す
総務省の家計調査では、いわゆる生活費を「消費支出」と呼び、日常の生活のために物やサービスを買って払ったお金としています。消費支出は、使い道によって次の10の費目に分かれています。
- 食料:食材、お惣菜、お菓子や飲み物、お酒、外食
- 住居:家賃、家の修理
- 光熱・水道:電気、ガス、灯油、水道
- 家具・家事用品:家電、家具、洗剤やティッシュ
- 被服及び履物:服、下着、靴、クリーニング
- 保健医療:薬、病院の窓口で払った分、メガネ
- 交通・通信:電車やバス、ガソリン、車の保険、スマホ代、郵便
- 教育:授業料、教科書、塾
- 教養娯楽:本、趣味、習い事、旅行の宿泊
- その他の消費支出:美容院、化粧品、こづかい、贈り物やお祝い、仕送り
家計簿の項目を少なくまとめている場合も、項目の中身が国の分け方と対応していれば、組み替えるだけで内訳が出せます。項目のまとめ方と迷いやすい支出の置き場は、項目の決め方の記事に書いています。
国と同じ10の費目で出しておく良さは、平均と並べたときに範囲がそろうことです。自分だけの分け方のままだと、外食を食費に入れているかどうかで、同じ「食費」でも比べられなくなります。
生活費に入れないもの
明細に出てくるお金には、生活費ではないものも混ざっています。家計調査でも、税金や貯金、借金の返済は、消費支出とは別に数えています。

- 税金と社会保険料:所得税、住民税、年金や健康保険の保険料。家計調査では「非消費支出」として別に数える
- 貯金・投資:お金の置き場所が変わっただけなので、支出ではなく移動として扱う
- ローンの返済:住宅ローンなどの返済は、借金を減らすお金として別に数える
給料から引かれる税金や社会保険料は、手取りの額から数え始めれば、明細には出てきません。住民税や国民健康保険料を自分で払っている場合は、生活費とは別の行にしておきます。
住宅ローンを家計簿の「住まい」に入れている場合も、内訳を出すときは分けておきます。国の平均の「住居」にはローンの返済が入っていないので、入れたまま比べると、住まいの費用が大きく見えます。
明細の上で二重に見えるものにも気をつけます。カードの引き落としや電子マネーのチャージは、買い物を、使った日の分としてすでに数えていれば、もう一度は数えません。
1か月の生活費の内訳を出す手順
用意するのは、直近1か月分の口座とカードの明細、電子マネーの利用履歴、現金で払った分の記録です。家計簿をつけていれば、その記録で足ります。紙でも表計算でも、同じ手順で出せます。
ステップ1どの1か月を出すかを決める3分
出すのは、ふだんの暮らしに近い月にします。引っ越しや大きな買い物、帰省や旅行があった月は、その月だけ内訳が大きく崩れるので、できれば避けます。
1か月を1日から月末にするか、給料日からにするかは、どちらでも構いません。区切りの決め方に合わせて、次に出すときも同じ区切りにします。
ステップ2生活費に入れないものに線を引く10分
明細を上から見て、前の節の「入れないもの」に線を引いて外します。貯金の口座へ移した額、ローンの返済、カードの引き落とし、電子マネーのチャージが主なものです。
カードで払った買い物は、カードの利用明細の1件ずつを、使った月の生活費に入れます。口座の明細に出るカードの引き落としの額は、ここで外しておきます。
ステップ3残りを10の費目に振り分ける15分
線を引かなかったものを、1件ずつ10の費目のどれかに書き込みます。迷ったものはその場で決めて、決めたことをメモしておきます。次に内訳を出すときに、同じ置き場にそろえるためです。
贈り物やお祝い、手土産は、中身が食べ物でも「その他」に入れます。家計調査の平均は、人に贈るものを「交際費」としてその他にまとめた分け方でも出ているので、あとで比べるときに範囲がそろいます。
ステップ4年に1回の支払いを、月あたりにして足す10分
1か月の明細だけでは、車の保険料や家電の買い替え、年払いの契約のように、年に数回しか出ない支払いが抜けます。逆に、それが出た月は、その費目だけが大きく見えます。
家計調査の1か月の平均も、1年間の合計を12で割った額です。1年分の明細から年に数回の支払いを拾い、費目ごとに合計して12で割り、その費目に足します。
選んだ月にたまたま年払いが入っていた場合は、その額を外して、12で割った額に置き換えます。税金のように生活費に入らないものは、ここでも足しません。
ステップ5費目ごとの合計と割合を出す5分
10の費目それぞれの合計を出し、全部を足して1か月の生活費にします。それぞれの費目の合計を1か月の生活費で割ると、全体のうち何割を占めるかが分かります。
割合を出しておくと、生活費の全体が違う月どうしでも、どの費目が重くなったかを比べやすくなります。割合の大きい費目から見ていけば、見直す順番も決めやすくなります。
1か月の内訳の例

図は、賃貸に住む家計の1か月を、10の費目に並べた例です。いちばん大きいのは住居の80,000円で、生活費の約3割を占めています。
次に大きいのは食料の70,000円で、約27%です。住居と食料だけで生活費の半分を超えるので、この例の家計では、この2つの動きを先に見ると全体の変化がつかめます。
国の平均と比べるとき
家計調査の2025年の結果では、二人以上の世帯の生活費(消費支出)は、1か月平均314,001円でした。一人で暮らす単身世帯は、173,042円です。
二人以上の世帯の平均は、平均の人数が2.87人、世帯主の平均年齢が60.7歳の家計の数字です。単身世帯も平均年齢が58.6歳で、若い世代の暮らしとは中身が違います。
世帯主の年齢で分けると、二人以上の世帯の生活費は、40歳未満が299,100円、40〜49歳が348,607円、50〜59歳が367,643円でいちばん多くなります。60〜69歳は327,405円、70歳以上は264,332円です。
世帯の人数ごとの合計

図のように、人数が増えるほど生活費の平均も増えますが、4人と5人ではほとんど変わりません。世帯主の平均年齢も人数によって違い、2人の世帯は68.5歳で、65歳以上の人が平均1.24人いる家計の数字です。
費目ごとの平均
10の費目ごとの、2025年の1か月平均は次のとおりです。単身世帯と、二人以上の世帯のうち2人・3人・4人の世帯の額を並べました。
- 食料:1人 44,659円/2人 79,340円/3人 92,240円/4人 103,384円
- 住居:1人 21,667円/2人 20,739円/3人 17,629円/4人 17,245円
- 光熱・水道:1人 13,333円/2人 22,691円/3人 25,626円/4人 25,942円
- 家具・家事用品:1人 5,945円/2人 11,564円/3人 13,475円/4人 14,292円
- 被服及び履物:1人 4,664円/2人 7,257円/3人 10,034円/4人 13,523円
- 保健医療:1人 8,690円/2人 16,280円/3人 16,445円/4人 14,392円
- 交通・通信:1人 19,190円/2人 39,516円/3人 49,752円/4人 53,213円
- 教育:1人 34円/2人 417円/3人 10,887円/4人 33,198円
- 教養娯楽:1人 20,250円/2人 28,411円/3人 29,433円/4人 36,710円
- その他の消費支出:1人 34,611円/2人 54,799円/3人 58,525円/4人 51,025円
教育は、4人の世帯で大きくなります。4人の世帯には18歳未満の人が平均1.31人いて、2人の世帯の0.01人とは暮らしの形が違います。自分の家計に無い費目は、平均の額を気にせず、ほかの費目どうしで比べます。
交通・通信には、車の購入や維持にかかる費用も入っています。単身世帯では19,190円のうち8,397円、2人の世帯では39,516円のうち24,633円が車の分(自動車等関係費)です。車を持っていない家計は、平均から車の分を除いた額と比べると範囲がそろいます。
住まいの費用は、持ち家が多い前提
二人以上の世帯の平均では、持ち家の世帯が87.3%で、家賃や地代を払っている世帯は11.7%です。住居が18,665円と小さいのは、家賃を払っていない世帯が多く、住宅ローンの返済も入っていないためです。
民営の賃貸に住む二人以上の世帯だけで見ると、住居は67,997円、生活費は324,825円でした。賃貸に住んでいるなら、平均の住居とは比べず、住居を除いた費目どうしで比べると範囲がそろいます。
家計調査は、住居に加えて、車の購入、お祝いなどの贈与金、仕送り金を除いた生活費も出しています。二人以上の世帯の2025年は274,163円で、家賃の差や、たまにしか無い大きな支出を外して比べたいときの目安になります。
単身世帯も、持ち家が59.0%で、家賃や地代を払っている世帯は35.1%です。一人暮らしで賃貸に住む人の数字は、一人暮らしの家計簿の記事で取り上げています。
平均は、大きな支出があった世帯に引っ張られる
家計調査は、平均とあわせて、真ん中の世帯の額(中央値)も出しています。二人以上の世帯の2025年の生活費は、平均が314,001円なのに対し、中央値は254,029円でした(中央値は、月ごとの中央値の平均です)。
費目で見ると、家具・家事用品、被服及び履物、交通・通信の中央値は、平均の半分以下です。家電や服、車のように、買う月と買わない月で額が大きく違う支出を含む費目です。住居と教育は、中央値が0円でした。
平均より少ないからといって、使い方がおかしいわけではありません。とくに買う月の差が大きい費目は、1か月ではなく、ステップ4で月あたりにした額で見ると比べやすくなります。
同じ年でも、表によって額が違う
家計調査には、人に贈るものを「交際費」にまとめる分け方と、贈るものも中身ごとの費目に入れる分け方の2つがあります。同じ2025年の二人以上の世帯の食料でも、前者では89,754円、後者では94,895円です。
この記事の費目ごとの平均は、前者の分け方の数字です。ステップ3で贈り物を「その他」に入れた内訳と、範囲がそろうためです。ほかの資料と額が違うときは、どちらの分け方か、何年か、どの世帯の数字かを確かめてから比べます。
学生の一人暮らしは、平均に入っていない
家計調査は、学生の単身世帯を調べる対象から外しています。そのため、単身世帯の平均は、大学生の一人暮らしと比べる物差しにはなりません。大学生の生活費の平均と家計簿のつけ方は、大学生の生活費の記事にまとめています。
平均と比べて分かるのは、自分の家計がどんな形をしているかまでです。増えたか減ったかは、先月や去年の自分の内訳と並べると確かに分かります。
内訳を出したら、見直しに使う
内訳は1回出して終わりにせず、同じ手順で毎月か3か月ごとに出して並べます。比べる相手は、ほかの家ではなく、先月や去年の同じ月の自分の内訳です。
並べたときに増えている費目があれば、その費目の中を見ます。食費なら食費の内訳、毎月同じ額が出ていく支出なら固定費の一覧のように、費目ごとの見方は別の記事にまとめています。
何を変えるかを決める手順は、月1回15分の見直しに書いています。年に数回の支払いまで含めた1年の見通しは、年間収支表で1枚にまとめられます。
よくある質問
Q生活費には、どこまで入りますか
家計調査の考え方では、暮らしのために物やサービスを買って払ったお金が生活費です。家賃や光熱費、通信費のほか、こづかいや仕送りも入り、税金・社会保険料、貯金、ローンの返済は入りません。
保険料は、種類によって置き場が分かれます。積み立てたお金が戻る保険は貯金と同じ側で、掛け捨ての保険は生活費に入ります。置き場の例は、項目の決め方の記事にあります。
Q生活費の内訳は、どんな割合が理想ですか
家計調査は実際の平均を示しているだけで、費目ごとに何割が望ましいという目安は示していません。2025年の二人以上の世帯では、食料が生活費の28.6%でした。
割合は、世帯の人数や住まい、車の有無で大きく変わります。自分の内訳の割合を同じ手順で出し、前と比べてどの費目が重くなったかを見るほうが、次に何をするかを決めやすくなります。
Qこれから一人暮らしを始めます。生活費はどう見積もればいいですか
家賃や通信費のように、額が決まっているものは実際の額を入れます。食費や光熱費のように暮らしてみないと分からない費目は、単身世帯の平均などを仮の額にしておきます。
暮らし始めたら、1か月目からこの記事の手順で内訳を出し、仮の額を実際の額に置き換えます。単身世帯の平均は年齢の高い世帯も含むので、3か月分の自分の数字がそろったら、そちらを見積もりに使います。
Q内訳は、どこまで細かく出せばいいですか
10の費目で十分です。費目の中まで分けるのは、増えていた費目だけにすれば、手間が増えすぎません。
Q夫婦で財布が別のときは、どう出しますか
2人がそれぞれ払った生活費を、費目ごとに足してから内訳を出します。どちらか一人の分だけでは、国の2人の世帯の平均とは比べられません。共有の仕方は、夫婦の家計簿の記事にまとめています。
Q老後の生活費の内訳も分かりますか
家計調査は、65歳以上の無職世帯の生活費も出しています。年金で暮らす世帯の平均は、年金生活の家計簿の記事で取り上げています。
まとめ
- 生活費の内訳は、国の家計調査と同じ10の費目で出す
- 税金・社会保険料、貯金、ローンの返済、カードの引き落としは外す
- 年に1回の支払いは、12で割って月あたりにして足す
- 費目ごとの合計と割合を出し、先月や去年の自分と並べる
- 国の平均と比べるときは、人数・年齢・持ち家か賃貸かをそろえる
内訳が出れば、生活費のどこが大きいのかが見えます。次に何を見直すかも、大きい費目から順に決められます。
この記事で参照した公的情報
- 家計調査報告 2025年平均結果の概要(二人以上の世帯・単身世帯の消費支出と10大費目・品目分類の食料)
- 家計調査 家計収支編 2025年 二人以上の世帯(第3-1表 世帯人員別・第3-7表 住居の所有関係別・第6-2表 平均金額及び中央値)
- 家計調査 家計収支編 2025年 単身世帯(第8表 住居の所有関係別)
- 家計調査 家計収支編 2025年 単身世帯(第1表 1世帯当たり1か月間の収入と支出=交通・通信のうち自動車等関係費)
- 家計調査 収支項目分類の基本原則(消費支出・非消費支出・実支出以外の支出・品目分類と用途分類)
- 窓口
- 総務省統計局
- 確認日
- 確認先
- https://www.stat.go.jp/data/kakei/2001np/04nh03.html
- 家計調査 用語の解説(消費支出・用途分類と品目分類・エンゲル係数)
- 窓口
- 総務省統計局
- 確認日
- 確認先
- https://www.stat.go.jp/data/kakei/kaisetsu.html
- 家計調査の概要(調査の対象=学生の単身世帯を除く)
- 窓口
- 総務省統計局
- 確認日
- 確認先
- https://www.stat.go.jp/data/kakei/2025np/pdf/gaiyou.pdf