夫婦で家計簿を共有するなら、まず共有する範囲を決める|全部を見せ合わなくていい

夫婦で家計簿を共有しようとしても、どこまで見せ合うかで話が止まることがあります。相手の細かい買い物まで見えると、責めるつもりがなくても気まずくなるからです。
共有するのは、2人の暮らしにかかる支出だけで十分です。そのうえで、出し合う額と月に1回だけ一緒に見る日を決めておくと、続けやすくなります。この記事では、範囲の決め方から、収入に差があるときの額の出し方までを順に書きます。
家計簿を一緒につけようとすると、全部見られるのは嫌だと思われないか心配です。どう始めればいいのでしょうか。
共有するものと、それぞれで持つものを分ける
まず、支出を「2人の暮らしにかかるもの」と「それぞれが自由に使うもの」に分けます。家賃や光熱費、食費のように2人で使うものは共有し、こづかいや個人の趣味はそれぞれで持ちます。

分け方に決まりはありません。迷ったら「相手が知らないと困るか」で決めると、話がまとまりやすくなります。
共有の仕方は3つ
共有のやり方は、大きく3つあります。
- 2人のお金を1つにまとめる:収入を1つの口座に集め、そこから生活費を払う。どちらか1人が管理役になりやすく、管理していない側は残高が分からないと不安になるので、もう1人も残高を見られるようにしておく
- 生活費だけ出し合う:それぞれが決めた額を共通の口座に入れ、そこから払う。こづかいの中身を見せ合わずに済むので、この記事の考え方といちばん合う。片方が相手に生活費を渡す形もここに入り、その額で足りているかを月1回確かめる
- 項目ごとに分担する:家賃は一方、食費はもう一方のように分ける。始めやすい一方で、家計の全体が2人とも見えにくく、子どもが生まれて食費が増えると、分担の重さが偏りやすい
どのやり方でも、家計簿で共有するのは「2人の暮らしにかかる支出」です。やり方によって、どの口座やカードの記録を見るかが変わるだけです。
共有を始める手順
用意するのは、2人の暮らしにかかる支出を払っている口座とカードの明細です。紙の家計簿を回しても、表計算を共有しても、同じ手順で始められます。
ステップ1共有する支出を書き出す10分
2人で話しながら、共有する支出を書き出します。項目の分け方は家計簿の項目の決め方が使えます。家賃、光熱費、通信費、食費、日用品のように、2人の暮らしにかかるものから並べます。
ステップ2どの口座とカードで払うかを決める10分
共有する支出を、どの口座やカードで払うかを決めます。払う経路が決まっていると、家計簿につけるときに、どちらが払ったかで迷いません。
ステップ3出し合う額を決める10分
生活費を出し合うなら、1か月の共有の支出の合計を出してから、2人の分け方を決めます。分け方は大きく2つで、同じ額ずつ出すか、手取りに対して同じ割合ずつ出すかです。

図は、手取りが30万円と20万円の2人で、共有の支出が月20万円の例です。割合で出す場合は、20万円を2人の手取りの合計50万円で割った4割を、それぞれの手取りに掛けて出します。
割合で決めるなら、お互いの手取りの額だけは知らせ合う必要があります。給与明細の中身まで見せ合わなくても、手取りの額が分かれば計算できます。
手取りの差が大きいときほど、2つの出し方の違いは大きくなります。たとえば手取りが30万円と8万円で共有の支出が20万円なら、同じ割合(手取りの約53%)で出すと、約15.8万円と約4.2万円です。
片方の収入が無い、またはごく少ないなら、2人のお金を1つにまとめる形にして、それぞれのこづかいの額を決めるほうが話が早くなります。こづかいの額も、月1回の話し合いで見直せるようにしておきます。こづかいが足りなくなったときに前借りできるかどうかも、先に決めておきます。
子どもの費用は、共有の支出に入れて同じ出し方で分けます。項目ごとに分担している場合も、子どもの費用だけを片方に寄せると、子どもが大きくなるにつれて負担が偏っていきます。
ステップ4共通の口座の入れ方を決める5分
共通の口座を作る目安は、立て替えの精算が毎月の手間になってきたときです。家賃や光熱費の引き落としを1つの口座にまとめると、精算そのものが減ります。
共通の口座を使うなら、毎月いくら入れるかは、直近3か月の共有の支出の平均に少し余裕を足した額にします。入れる日は2人とも給料日の直後にそろえ、毎月の振込を自動にできれば、入れ忘れも防げます。
口座は、どちらか1人の名義で作ることになります。名義は、家賃や光熱費の引き落としの手続きをする人にしておくと、手続きが1人で済みます。名義でない側は毎月決めた額を入れる役にして、残高は2人とも見られるようにしておきます。
名義人が亡くなったときは、銀行に知らせた時点で、その口座の入出金は原則として止まります。遺産を分ける前でも、相続人が一定の額まで払い戻せる制度はありますが、手続きが要ります。それぞれの口座にも当面の生活費を残しておくと慌てません。
いくら以上の買い物なら使う前に相談する、という額も決めておきます。家具や家電のように大きな支出を共通の口座から出すときに、あとでもめずに済みます。
月末に余ったお金を翌月に回すか、貯金に移すかも、始める前に決めておきます。決めておかないと、余りが増えたときに使い道で迷います。
ステップ5記録する人と、記録する日を決める5分
毎回2人でつける必要はありません。記録する人を1人に決めるか、週に1回まとめてつける日を決めておきます。
記録する人が1人でも、引き落としの口座と支払いの一覧は、もう1人も分かるようにしておきます。入院や単身赴任で片方が家計を見られなくなったときに、そのまま引き継げます。
カードで払う分は、使った日と引き落とし日がずれます。家計簿は使った日でつけておくと、2人で見るときに月がそろいます。
立て替えた分は、月に1回まとめて精算する
共有の支出を、自分のカードや財布から払うこともあります。その場合も家計簿には共有の支出として書き、誰が立て替えたかをメモに残しておきます。
精算は、月に1回2人で見る日にまとめて行います。1回ごとに返し合うより手間が少なく、「今月はどちらがいくら立て替えたか」も家計簿から分かります。

図は、共有の家計簿の1か月の例です。日付・中身・金額に加えて「どこから払ったか」を書いておくと、月末に立て替えの合計がすぐに出ます。
共通の口座がある場合は、立て替えた分を共通の口座から本人に返します。共通の口座が無い場合は、2人の立て替えの差額だけを、多く払った側に返します。
2人で見るのは月に1回
2人で家計簿を見るのは、月に1回で十分です。月1回の見直しと同じように、直近3か月を並べて、増えている項目だけを話します。
話すときは、誰が使ったかではなく、何が増えているかから始めます。責める話にしないために、「来月1つだけ変えること」を決めるところまでで終えます。
引っ越しや出産、転職のように、収入や支出が大きく変わったときは、月1回の話し合いとは別に、出し合う額と共有する範囲を決め直します。ステップ1から5をもう一度たどれば、30分ほどで決め直せます。
見るのは2人の暮らしの分だけです。こづかいの中身までは聞かないと、先に決めておくと話しやすくなります。
Mirai Kanai でこの共有をする場合
ここまでの手順は、紙の家計簿を2人で回しても、表計算を共有してもできます。そのうえで、私たちが運営する Mirai Kanai にある機能を書いておきます。
- 家計グループへの招待(無料):同じ家計簿を2人で見られるように、相手を招待できます
- 役割の設定(無料):記録もできる人と、見るだけの人を分けられます
招待と役割の設定は、無料で使えます。料金の全体は料金ページにあります。
よくある質問
Q生活費を夫婦で出し合うと、贈与税はかかりますか
国税庁は、夫婦などの間で生活費や教育費に充てるために受け取った財産で、通常必要と認められるものには、贈与税がかからないとしています。ただし、生活費の名目で受け取ったお金を預金したり、別のものの購入に充てたりした場合は、贈与税がかかることがあります。
なお、1年間に贈与を受けた財産の合計が110万円以下なら、贈与税はかかりません。ここに書いた扱いは、結婚している夫婦の場合です。共通の口座に残ったお金の扱いなど、個別の判断が必要なときは、税務署に確かめてください。
Q夫婦の生活費の分担に、法律の決まりはありますか
民法には「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」とあります。どの割合で分けるかまでは決められていないので、2人の事情に合わせて話し合って決めます。
Qお財布を別々にしていても、共有になりますか
なります。共有するのは2人の暮らしにかかる支出だけなので、それぞれのお金は別々のまま、生活費の分だけを家計簿で見られれば十分です。
Qこづかいには、何を含めますか
迷ったら、範囲を決めたときと同じく「相手が知らないと困るか」で分けます。自分の服や趣味、友人との付き合いのように、使っても相手の暮らしに響かないものは、こづかいに含めてよいものです。
Q相手が手取りを教えてくれません
同じ額で出し合う形なら、手取りを知らなくても始められます。割合で分けたくなったときに、額だけを知らせてもらうよう話してみてください。
Q相手が記録してくれません
記録する人を1人に決め、もう1人は月に1回見るだけでも共有になります。手間を半分ずつにするより、役割を分けたほうが続くこともあります。
まとめ
- 共有するのは、2人の暮らしにかかる支出だけでいい
- こづかいや個人の支払いは、それぞれで持つ
- 払う口座とカード、記録する人と日を決める
- 収入に差があるなら、同じ額か同じ割合かを選んで、出し合う額を決める
- 立て替えた分は、月に1回まとめて精算する
- 2人で見るのは月に1回、増えている項目だけ
- 生活費の分担に使うお金は、通常必要な範囲なら贈与税はかからない
- 引っ越し・出産・転職のときは、分担を決め直す
見せ合う範囲が決まっていれば、家計の話が気まずくなりにくくなります。月に1回の話し合いが、2人の習慣になります。
この記事で参照した公的情報
- No.4405 贈与税がかからない場合(扶養義務者からの生活費・教育費)
- No.4402 贈与税がかかる場合(暦年課税の基礎控除110万円)
- 預金の相続手続(口座名義人が亡くなられた場合)
- 窓口
- 一般社団法人全国銀行協会
- 確認日
- 確認先
- https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-f/7704/
- 遺産分割前の相続預金の払戻し制度(民法 第909条の2)
- 民法 第760条(婚姻費用の分担)
- 窓口
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 家計調査 用語の解説(消費支出)
- 窓口
- 総務省統計局
- 確認日
- 確認先
- https://www.stat.go.jp/data/kakei/kaisetsu.html