年金生活の家計簿のつけ方|2か月に1回の年金に合わせて、区切りと収入の書き方を決める

年金で暮らし始めると、家計簿の月ごとの収入が大きく揺れます。年金は毎月ではなく、2か月に1回まとめて入るからです。給料のころと同じ形でつけると、年金の入った月は大きな黒字、入らない月は赤字に見えます。
家計簿で先に決めておくのは、2つだけです。1か月の区切りを年金に合わせてどう取るかと、収入を天引きの前と後のどちらの額で書くかです。この2つが決まれば、あとは給料のころと同じようにつけられます。
年金の入らない月は、家計簿が真っ赤になります。やりくりできているのか、足りていないのかが分かりません。
年金は2か月に1回、前の2か月分が入る
日本年金機構の案内では、年金は原則として年6回、偶数月の15日に支払われます。15日が土日や祝日にあたるときは、その直前の平日です。国民年金法と厚生年金保険法にも、2月・4月・6月・8月・10月・12月に、それぞれ前の月までの分を払うと決められています。

たとえば4月に入る年金は2月分と3月分、10月に入る年金は8月分と9月分です。偶数月に入ったお金で、次の偶数月の支払日の前日まで、2か月を暮らすことになります。
2026年は、8月15日が土曜日なので、8月の年金は14日の金曜日に入ります。2027年も8月15日が日曜日にあたり、13日の金曜日に入ります。区切りを15日にするなら、早く入った年は1〜2日ずれることを頭に入れておきます。
収入は、天引きの後の振込額で書く
年金からは、市区町村の依頼で、保険料や税金が差し引かれることがあります。日本年金機構の案内では、対象は介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税です。65歳以上で年金が年18万円以上などの条件があり、対象の人には市区町村から知らせが届きます。
介護保険料の決まり方は介護保険料はいつからにまとめています。届く年金の見込額の読み方は、ねんきん定期便の見方にあります。
所得税も、年金の額が一定より多いと、支払いのたびに差し引かれます。口座に入るのは、年金の額からこうした天引きを引いた「振込額」です。

図は、振込額の出し方の例です。家計簿の収入は、口座に実際に入った386,000円で書きます。天引きの額は、年に1回、年金振込通知書から書き写しておけば足ります。
年金振込通知書は、原則として毎年6月に届き、振込額や天引きの額に変わりがなければ、その後の月には届きません。額が変わるときは、そのつど送られてきます。
国の家計調査でも、税金と社会保険料は「非消費支出」として、生活費にあたる消費支出と分けて数えています。天引きの後の額で書いておくと、家計簿の支出は暮らしにかかったお金だけになり、月ごとに比べやすくなります。
10月の振込額は、変わることがある
日本年金機構の案内では、市区町村が決めたその年の介護保険料は、10月の支払いから天引きの額に反映されます。住民税も、前の年度から続けて天引きされている人は、4月・6月・8月の分が前の年度をもとにした仮の額、10月・12月・2月の分がその年度の額と地方税法で決められています。
そのため、10月の振込額は、8月までと違うことがあります。10月に届く通知書か通帳を見て、家計簿の収入の額を書き直します。
年金生活の家計簿のつけ方
用意するのは、年金振込通知書と、年金が入る口座の通帳か入出金の記録です。紙でも表計算でも、どの家計簿でも同じ手順でつけられます。
ステップ1年金振込通知書と通帳を並べる5分
年金振込通知書の振込額と、通帳に偶数月の15日ごろに入った額が同じかを確かめます。年金が2つ以上あるなら、年金の種類ごとに通知書が届くので、それぞれの振込額を書き出します。
あわせて、同じ口座から毎月落ちている光熱費や電話代なども書き出しておきます。家計を家族から引き継ぐときも、この一覧があれば、何がいつ出ていくかがひと目で分かります。
ステップ22か月ひと区切りか、1か月ずつかを決める3分
家計簿の区切りは、何を見たいかで決めます。年金の1回分で次の年金まで暮らせたかを見たいなら、偶数月の15日から次の偶数月の14日までを、2か月ひと区切りにします。
先月や去年の同じ月と比べたいなら、1か月ずつの区切りにして、年金を2つの月に分けます。どちらでも構いませんが、決めたら少なくとも半年は変えずに続けると、比べられるようになります。
ステップ3年金が入った日に、振込額を1行で書く1分
年金が入ったら、その日に「年金(8月分・9月分)」のように、何月分かを添えて振込額を1行で書きます。何月分かを書いておくと、あとで1年分を足したときに数え漏れが分かります。
夫婦で2人とも年金を受け取っているなら、1人ずつ別の行にします。どちらも同じ日に入るので、区切りは2人で同じにできます。
ステップ41か月ずつ見るなら、半分を次の月の分にする1分
1か月ずつの区切りにしたなら、年金が入った日に、振込額の半分を「次の月の分」として取り分ける1行を書きます。取り分けた分は、次の月の初めにその月の収入として戻します。
この取り分けは、お金を使ったのではなく、家計簿の上で月から月へ移しただけです。支出にも収入にも数えず、移動として書きます。封筒や別の口座に実際に分けておくと、使いすぎに気づきやすくなります。
ステップ5次の年金の前日に、残った額を見る5分
次の年金が入る前日に、区切りの間の支出を足し、振込額からどれだけ残ったかを見ます。2か月ひと区切りなら1回、1か月ずつなら月ごとに2回見ることになります。
残った額がマイナスなら、貯金を取り崩して暮らしたということです。取り崩した分は収入に入れず、貯金から移した額として書いておくと、年金だけでどれだけ足りなかったかがそのまま分かります。
2か月の記入例

図は、1か月ずつの区切りでつけた2か月の例です。10月15日に入った386,000円を2つに分け、1か月目は8,000円、2か月目は5,000円が残りました。
2か月ひと区切りでつけても、386,000円から2か月の支出373,000円を引いて、残りは同じ13,000円です。どちらの区切りでも合計は変わらず、見える単位が違うだけです。
迷いやすい6つの場面
年金の支払日が土日にあたる
15日が土日や祝日にあたると、年金は直前の平日に入ります。区切りを15日にしているなら、本来の15日で区切り、早く入った年金は次の区切りの収入として扱うと、区切りの長さがそろいます。
年金を受け取り始めた最初の月
日本年金機構の案内では、最初の年金は、受け取り始めた月の分から数か月分がまとめて入ることがあります。何月分からかは、年金証書の支払開始年月で確かめられます。
最初の支払いは、2か月分より多いことがあります。家計簿では、ふだんの2か月分と、それより前の月の分を分けて書き、前の月の分は貯金などに移しておくと、次からの区切りと比べやすくなります。
年金が2つあり、天引きが片方だけにある
日本年金機構の案内では、年金を2つ以上受け取っている場合、天引きはどれか1つの年金から行われます。老齢厚生年金は、天引きの対象にならないと案内されています。
そのため、通知書を並べると、片方だけ振込額が少なく見えることがあります。家計簿では、年金ごとに振込額の行を分け、足した額を2か月の収入として見ます。
天引きされない税や保険料がある
天引きの対象でない税や保険料は、市区町村から届く納付書や口座からの引き落としで払います。払った日に「税金・保険料」の行で書き、食費や光熱費とは分けて合計します。
天引きの分と足し合わせたものが、1年に払った税と保険料です。天引きされる分とされない分が混ざる年は、市区町村からの通知で、どちらで払うかを確かめてください。
年金のほかに入るお金がある
働いて得た収入は、年金とは別の行で書きます。年金と混ぜると、年金だけで暮らせているかが見えなくなります。区切りは、年金とほかの収入で分けず、どちらかにそろえます。
自分で掛けてきた個人年金を受け取るときは、収入ではなく移動として書く方法があります。国の家計調査の分類では、個人年金の受け取りは、預貯金の引き出しと同じ「実収入以外の受取」に入っています。
年に1回の大きな支払いがある
固定資産税や車の税金、家電の買い替えのような支払いは、その区切りだけ支出が大きく見えます。1年分の明細から拾う手順で、いつ・いくら出るかを先に並べておくと、その区切りに備えて取り分けておけます。
年金は毎回ほぼ同じ額なので、大きな支払いがある区切りは前もって分かります。その区切りだけ比べる対象から外すと、ふだんのやりくりが見やすくなります。
国の平均と比べるときは
総務省の家計調査(2025年)では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の1か月の平均は、実収入254,395円のうち年金などの社会保障給付が228,614円でした。税金と社会保険料などが32,850円、生活費にあたる消費支出は263,979円で、42,434円が足りない計算です。
65歳以上の単身の無職世帯では、実収入131,456円のうち社会保障給付が120,212円です。税金と社会保険料などが12,990円、消費支出は148,445円で、29,980円が足りない計算でした。
どちらも平均なので、自分の家計と比べるのは目安にとどめます。65歳以上の無職世帯(二人以上)では持ち家の割合が95.5%で、住まいの支出は持ち家が多い前提の額です。家賃を払っているなら、その分を足して見ます。
比べるときは、家計簿の支出を1か月分にそろえます。2か月ひと区切りでつけているなら、2か月の支出を2で割ってから並べます。
よくある質問
Q生活費に、税金や保険料は入れますか
家計簿の生活費には入れず、「税金・保険料」として分けておくと比べやすくなります。国の家計調査でも、税金と社会保険料は生活費とは別に数えています。天引きされている分は、振込額で収入を書いた時点で外れています。
Q年金の半分ずつを、毎月の収入として書いてもいいですか
構いません。ステップ4の取り分けがその書き方です。入った日に半分を次の月の分として移しておけば、家計簿の上では毎月同じくらいの収入が入る形になります。
Q年金額改定通知書の年金額と、振込額の1年分の合計が合いません
日本年金機構の案内では、年金の額を6で割ったときの1円未満の端数は、2月の支払いにまとめて足されます。また、年金額改定通知書は4月時点の年金額なので、途中で額が変わると合わないことがあります。天引きの分も差があるので、家計簿は振込額で書いておけば困りません。
Q天引きをやめて、自分で払うことはできますか
日本年金機構の案内では、介護保険料と住民税は、本人の希望で天引きをやめることはできません。国民健康保険料(税)と後期高齢者医療保険料は、住んでいる市区町村に相談するよう案内されています。
Q日付の入った市販の家計簿で、2か月ひと区切りにしたいのですが
1日から月末までの日付が入っていると、15日で区切ると3ページにまたがります。日付の欄が空いた家計簿やノートを使うか、市販の家計簿のまま1か月ずつにして、ステップ4で年金を2つの月に分けると迷いません。
Q年金生活の家計簿は、どんな項目にすればいいですか
項目の決め方は、給料で暮らしていたころと変わりません。家計調査の10大費目を土台にし、年金生活では「税金・保険料」と「医療」を分けておくと、年ごとの変わり方が見えます。
Q夫婦で口座が別々です
2人の年金は同じ日に入るので、区切りはそろえられます。生活費をどちらの口座から出すかと、出し合う額の決め方は、夫婦で家計簿を共有する手順にまとめています。
まとめ
- 年金は偶数月の15日に、前の2か月分がまとめて入る
- 区切りは、2か月ひと区切りか、1か月ずつかを先に決める
- 1か月ずつなら、入った日に半分を次の月の分として移す
- 収入は、天引きの後に口座へ入った振込額で書く
- 10月は天引きの額が変わることがあるので、振込額を見て書き直す
- 取り崩した貯金は収入に入れず、移した額として書く
- 国の平均と比べるときは、1か月分にそろえてから並べる
区切りと収入の書き方が決まれば、年金の入らない月が赤字に見えることはなくなります。1回の年金で次の年金まで暮らせたかが、そのまま見えるようになります。
この記事で参照した公的情報
- 年金Q&A「年金はいつ支払われますか。」(偶数月の15日・前月までの2カ月分)
- 国民年金法 第18条第3項(年金の支払期月)
- 窓口
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141
- 厚生年金保険法 第36条第3項(年金の支払期月)
- 窓口
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115
- 年金Q&A「初めて年金の支払いを受けましたが、これはいつからいつまでの分ですか。」
- 年金Q&A(年金振込通知書の送付)「年金振込通知書は、年金支払月に必ず送付されますか。」ほか
- 年金Q&A(年金振込通知書に記載されている金額)10月以降の支払額が「*」の理由・年金額改定通知書と振込額の合計が合わない理由・天引きをやめられるか
- 年金Q&A「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 年金Q&A「年金から税金が差し引かれています。どうしてですか。」
- 地方税法 第321条の7の2・第321条の7の8(公的年金からの住民税の特別徴収・仮特別徴収)
- 窓口
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
- 家計調査 収支項目分類及びその内容例示(2025年1月改定)(個人・企業年金保険金=実収入以外の受取)
- 家計調査報告 2025年平均結果の概要(参考4 65歳以上の無職世帯の家計収支)