要介護認定とは|申請から認定までの流れと、7つの区分

親の生活に手助けが要るようになったとき、最初にすることが要介護認定の申請です。ここで決まる区分によって、使えるサービスの量が変わります。
この記事では、要介護認定がどう決まるのかを厚生労働省の資料で確かめます。申請してから結果が出るまでに何が起きるのかも、順にまとめます。
親の介護が必要になったときのことが心配です。要介護認定という言葉は聞きますが、どこに何を出すのか分かりません。
「病気の重さ」ではなく「介護の手間」で決まる
要介護認定でよく誤解されるのが、判定の基準です。厚生労働省は「要介護認定は、介護サービスの必要度(どれ位、介護のサービスを行う必要があるか)を判断するもの」としています。
そのうえで「その方の病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があります」と明記しています。診断名では区分が決まりません。
例として挙げられているのが認知症です。身体の状況が比較的良好でも、徘徊をはじめとする問題行動のために介護に要する手間が非常に多くかかることがあります。
一方、寝たきりの方に認知症の症状が加わった場合は、病状としては進行していても徘徊等が発生しないため、介護の総量としては大きく増えないことが考えられます。介護の手間で見ると、このような逆転が起きます。
★だから、診断名や病気の重さだけでは区分は予想できません。調査で見られるのは、日々どれだけ手間がかかっているかです。
7つの区分は「基準時間」で分かれる
区分は、要支援1・要支援2・要介護1から要介護5までの7つです。分ける物差しが「要介護認定等基準時間」です。

図は、厚生労働省が示している区分ごとの基準時間です。要支援2と要介護1は同じ「32分以上50分未満」で、状態の見込みによって分かれます。
この時間は「1分間タイムスタディ・データ」から推計されます。介護老人福祉施設などに入所している約3,500人の高齢者について、48時間にわたりどのような介護がどれだけの時間行われたかを調べたものです。
推計は5分野について行われます。直接生活介助・間接生活介助・BPSD関連行為・機能訓練関連行為・医療関連行為で、その時間と認知症加算の合計をもとに判定されます。
★厚生労働省は「これは1分間タイムスタディという特別な方法による時間であり、実際に家庭で行われる介護時間とは異なります」としています。「うちは1日3時間介護している」という時間とは、別の物差しです。
★同じ資料には「この要介護認定等基準時間は、あくまでも介護の必要性を量る『ものさし』であり、直接、訪問介護・訪問看護等の在宅で受けられる介護サービスの合計時間と連動するわけではありません」とも書かれています。区分が上がっても、その分だけサービスの時間が増えるとは限りません。
申請から認定までの流れ
要介護認定は、お住まいの市町村が行います。申請から結果の通知までは、原則30日以内です。
ステップ1市区町村の窓口に申請する30分
お住まいの市町村の介護保険の窓口に、申請書を提出します。本人のほか、家族も申請できます。
申請書には主治医の氏名と医療機関名を書く欄があります。主治医意見書は市から直接その医療機関に依頼されるので、自分で取りに行く必要はありません。
★主治医がいない場合は、窓口で相談します。市町村が指定する医師の診察を受けることになります。
ステップ2認定調査を受ける60分
市町村の職員や、市町村から委託を受けた介護支援専門員(ケアマネジャー)が自宅や施設を訪問し、日頃の心身の状況を聞き取ります。調査項目は全国共通です。
★調査のとき、本人が実際よりよく振る舞ってしまうことがあります。家族が同席して、普段の様子を具体的に伝えると、実態に近い調査になります。
★困っていることは、日付と場面で伝えると伝わりやすくなります。「夜中に2回起きて探しに出る」「入浴のときに声をかけ続ける必要がある」といった形です。
ステップ3審査・判定を待つ30分
★この間は待つだけで、こちらですることはありません。認定調査の結果と主治医意見書をもとに、コンピュータによる一次判定が行われます。そのあと、保健・医療・福祉の学識経験者で構成される介護認定審査会が、一次判定結果・特記事項・主治医意見書を総合的に勘案して二次判定を行います。
神奈川県の案内では、介護認定審査会は保健・医療・福祉の学識経験者5〜6人で構成されています。市町村が委員を任命します。
ステップ4結果を受け取る10分
申請してから30日以内に、市町村から認定結果が通知されます。「認定結果通知書」と「介護保険の被保険者証」が届きます。
結果は、要介護1〜5、要支援1・2、非該当(自立)のいずれかです。非該当の場合も、市区町村の一般介護予防事業は利用できます。
親の介護保険被保険者証を探してみてください。65歳以上の方には交付されています。申請のときに要るので、先に場所を確かめておくと慌てずに済みます。
区分で、使える量が決まる
認定された区分によって、1か月に使える介護サービスの量が決まります。これを「区分支給限度額」といいます。

図は、厚生労働省の介護サービス情報公表システムに載っている居宅サービスの1か月あたりの限度額です。区分が1つ上がるごとに、使える量が増えます。
利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)です。限度額の範囲内なら1割負担で、限度額を超えた分は全額が自己負担になります。
要介護5で限度額いっぱいまで使うと、1割負担でも月36,217円です。2割なら72,434円、3割なら108,651円になります。
★介護保険施設を利用する場合は、この1割(2割・3割)負担のほかに、居住費・食費・日常生活費の負担も必要です。所得の低い方には負担の軽減措置(特定入所者介護サービス費)があります。
★毎月の負担は固定費として家計に乗ります。介護保険料そのものの決まり方は介護保険料にまとめています。
迷いやすい場面
40歳から64歳でも受けられるのか
受けられますが、条件があります。40歳以上65歳未満の人(第2号被保険者)は、介護が必要になった原因が「特定疾病」である場合に限られます。
厚生労働省は、特定疾病を介護保険法施行令第二条で16個に絞って列記しています。がん(回復の見込みがない状態に至ったと医師が判断したものに限る)、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、初老期における認知症、脳血管疾患、糖尿病性神経障害・腎症・網膜症などです。
★65歳以上の人(第1号被保険者)は、原因を問わず申請できます。病気の種類は問われません。
自己負担が高くなったとき
1か月の利用者負担が上限を超えると、超えた分が高額介護サービス費として戻ります。上限はいちばん多い区分で月4万4,400円です。
対象にならない費用があるので、明細を合計する前に確かめてください。対象になる費用と申請のしかたは高額介護サービス費にまとめています。
家族の介護で仕事を休むとき
雇用保険から介護休業給付金が支給されます。対象家族1人につき93日まで、賃金の67%です。
休業のあいだは給与が止まる会社が多いので、先に条件を確かめておくと安心です。条件と申請の期限は介護休業給付金にまとめています。
思ったより軽い区分になった
判定に納得できないときは、市区町村に相談します。結果の通知から3か月以内であれば、都道府県の介護保険審査会に審査請求もできます。
また、心身の状態が変わったときは、有効期間の途中でも「区分変更申請」ができます。状態が急に悪くなったときは、こちらのほうが早いことが多くなっています。
認定の有効期間はどれくらいか
新規の認定は原則6か月です。更新のときは12か月が原則で、状態が安定していれば最長で48か月まで延ばされることがあります。
神奈川県の案内では、要介護認定は一定期間(おおむね6か月)ごとに見直しが行われるとされています。更新の申請は、有効期間が終わる60日前からできます。
結果が出るまでサービスは使えないのか
使えます。申請した日にさかのぼって認定の効力が生じるので、結果を待たずに暫定のケアプランでサービスを使うことができます。
ただし、予想より軽い区分になった場合は、限度額を超えた分が全額自己負担になります。ケアマネジャーと相談してから使い始めるのが確実です。
ケアプランは誰が作るのか
要介護1〜5の人は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに依頼します。要支援1・2の人は、地域包括支援センターが担当します。
ケアプランの作成には利用者負担がありません。どの事業所に頼むかは自由で、市区町村の窓口で一覧をもらえます。
医療費控除の対象になるのか
介護サービスの利用料の一部は、医療費控除の対象になります。訪問看護や通所リハビリテーションなど、医療系のサービスが中心です。
対象になるかどうかは領収書に記載されることが多いので、1年分をまとめて確かめます。控除の受け方は医療費控除のやり方にまとめています。
家計簿にはどう書けばよいか
介護サービスの自己負担は、毎月ほぼ決まった額になります。固定費として1行にまとめ、区分が変わった月に額を書き換える形が扱いやすくなります。
おむつ代や通院の交通費など、保険の対象外の支出は別の行にします。分け方は固定費の見直しにまとめています。
よくある質問
Q要介護認定はどこに申請しますか
お住まいの市町村の介護保険の窓口です。本人のほか、家族も申請できます。地域包括支援センターでも相談できます。
Q結果が出るまでどれくらいかかりますか
申請してから30日以内に通知されます。認定調査と主治医意見書、一次判定、介護認定審査会の二次判定という順番で進みます。
Q要支援2と要介護1はどう違いますか
要介護認定等基準時間はどちらも32分以上50分未満で同じです。状態の見込みによって分かれます。要支援は地域包括支援センター、要介護は居宅介護支援事業所がケアプランを作ります。
Q区分が上がると自己負担も増えますか
使えるサービスの量(区分支給限度額)が増えるので、限度額いっぱいまで使えば自己負担も増えます。限度額の範囲内なら1割(所得により2割・3割)負担です。
Q40歳ですが申請できますか
40歳以上65歳未満の人は、介護が必要になった原因が16の特定疾病である場合に限り申請できます。65歳以上の人は原因を問いません。
Q認定調査で何を聞かれますか
日頃の心身の状況です。調査項目は全国共通で、身体機能・生活機能・認知機能・社会生活への適応・医療行為などを聞かれます。家族が同席して普段の様子を伝えられます。
Q判定に納得できないときは
市区町村に相談します。結果の通知から3か月以内であれば、都道府県の介護保険審査会に審査請求もできます。状態が変わったときは区分変更申請という方法もあります。
まとめ
要介護認定は、病気の重さではなく「どれだけ介護の手間がかかるか」で決まります。厚生労働省も、病気の重さと要介護度の高さが必ずしも一致しないと明記しています。
区分は要支援1から要介護5までの7つで、要介護認定等基準時間という全国共通の物差しで分かれます。この時間は判定のためのもので、家庭で実際にかかっている介護時間とは別のものです。
申請から結果の通知までは原則30日以内です。市区町村の窓口に申請し、認定調査を受け、介護認定審査会の判定を待つという流れになります。
区分が決まると、1か月に使えるサービスの量が決まります。要支援1で50,320円、要介護5で362,170円です。ここから1割(所得により2割・3割)が自己負担になるので、区分が分かった時点で毎月の固定費の見当がつきます。
この記事で参照した公的情報
- 要介護認定に係る制度の概要(市町村の介護認定審査会が判定・基準は全国一律・一次判定はコンピュータ・二次判定は介護認定審査会)
- 要介護認定はどのように行われるか(要介護認定等基準時間による7区分の基準・1分間タイムスタディ・5分野の推計・実際の介護時間とは異なること)
- 特定疾病の選定基準の考え方(40歳以上65歳未満が対象になる16の特定疾病・介護保険法施行令第二条)
- サービスにかかる利用料(居宅サービスの1か月あたりの区分支給限度額・要支援1は50,320円から要介護5は362,170円・利用者負担は原則1割)
- 窓口
- 厚生労働省(介護サービス情報公表システム)
- 確認日
- 確認先
- https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
- 要介護認定(申請から認定までの流れ・認定調査・主治医意見書・結果の通知は原則30日以内)