住居確保給付金とは|家賃を原則3か月補助、令和7年から転居費用の補助も

家計の見える化

仕事を失ったり、収入が大きく減ったりすると、まず家賃が重くのしかかります。貯金を取り崩す前に使える制度があるかは、知らないと分かりません。

この記事では、住居確保給付金のしくみを自治体の案内で確かめます。あわせて、受けられる基準と、家計簿での書き方まで書きます。

仕事を辞めて収入がなくなり、来月の家賃が払えそうにありません。何から相談すればいいのか分かりません。

家賃の補助と、転居費用の補助がある

神奈川県の案内では、住居確保給付金には2つの支援があるとされています。就職活動を支えるための家賃の補助と、家計の立て直しのための転居費用の補助です。

家賃の補助は、仕事を辞めたことなどで収入が減り、家賃の支払いに悩んでいる方が対象です。再就職に向けた活動を行うことなどが要件になります。

転居費用の補助は、収入が大きく減り、家賃が安い住宅に転居する必要がある方が対象です。家計改善の支援において、転居によって家計が改善すると認められることが要件です。

支給の仕方にも特徴があります。家賃の補助は自分の口座ではなく、住宅の貸主(大家)の口座へ直接振り込まれます。

窓口は市区町村です。市に住んでいる方は市の相談窓口、町村に住んでいる方は県の相談窓口で受け付けます。

収入と金融資産に基準がある

住居確保給付金の収入と金融資産の基準の図。目黒区の例では、基準額が1人世帯92,000円、2人世帯139,000円、3人世帯172,000円。家賃額は1人53,700円、2人64,000円、3人から5人69,800円。金融資産は1人552,000円、2人834,000円、3人以上100万円

図は、目黒区が示している基準です。金額は市区町村で違うので、自分の地域の案内で確かめてください。

収入の基準は、申請日の属する月の世帯の収入の合計が、基準額に家賃額を合わせた額以下であることです。神奈川県の案内では、基準額とは市町村民税均等割が非課税となる収入額の12分の1の額とされていて、もとになる考え方は住民税非課税世帯とはと同じです。

目黒区の例では、1人世帯の基準額が92,000円、家賃額が53,700円で、収入基準額は145,700円です。2人世帯は139,000円と64,000円で、203,000円になります。

金融資産にも基準があります。神奈川県の案内では、基準額の6倍(100万円が上限)以下とされていて、目黒区の例では1人552,000円、2人834,000円、3人以上100万円です。

支給される額は収入によって変わります。世帯の収入が基準額以下なら家賃額がそのまま、基準額を超える場合は「基準額+家賃額-世帯収入額」が支給額になります。

上限もあります。支給額は生活保護法に基づく住宅扶助の限度額が上限で、目黒区の例では1人世帯53,700円、3人から5人世帯69,800円です。

支給されるのは原則3か月、最長9か月

住居確保給付金の支給期間の図。原則3か月。誠実かつ熱心に求職活動を行っているなど一定の要件を満たす場合は、申請により3か月を限度に2回まで延長でき、最長9か月まで受けられる

図は、支給期間です。神奈川県と目黒区の案内では、家賃補助の支給期間は原則3か月とされています。

延長もできます。誠実かつ熱心に求職活動を行っているなど一定の要件を満たす場合は、申請により3か月を限度に2回まで延長でき、最長9か月になります。

受けられるのは離職・廃業から2年以内です。ただし、疾病・負傷・育児などやむを得ない事情で30日以上求職活動ができなかった場合は、その日数を2年に加算した期間になり、加算された期間が4年を超えるときは4年になります。

離職していなくても対象になることがあります。やむを得ない休業などで収入が減り、離職・廃業と同等の状態になった方も要件が用意されています。

世帯の生計を主に支えている人が申請します。離職等の日(休業等の場合は申請日の属する月)において、申請者が世帯の主たる生計維持者であることが要件です。

受けている間は、求職活動の報告が要る

家賃補助は、受け取ったら終わりではありません。受給中は、求職活動などの要件を満たす必要があります。

この要件がつくのは家賃補助だけです。目黒区の案内では、転居費用補助には求職活動要件はないとされています。

神奈川県の案内では、離職・廃業による申請の場合、まずハローワーク等へ求職申込をします。そのうえで、月に4回以上の自立相談支援機関との面談等、月に2回のハローワーク等における職業相談等、週に1回以上の企業等への応募または面接が求められるとされています。

自営業の方には別の道もあります。経営改善等の意欲があり経営相談を行うことが適当と認められる場合は、月1回以上の経営相談先への面談等を受け、自立に向けた活動計画を作って取り組む形になります。

報告を怠ると止まります。横須賀市の案内では、相談支援や求職活動を怠る場合、就労で得た収入が一定額を超えた場合、生活保護を受給した場合などに支給が中止されるとされています。

他の給付との重複もできません。地方自治体等が実施する住居の確保を目的とした類似の給付等を、世帯の誰かが受けていないことが要件です。

相談の進め方と、家計簿での書き方

用意するのは、賃貸借契約書、収入が分かるもの、通帳です。相談の前にそろえておくと話が早く進みます。

ステップ1住んでいる市区町村の窓口に相談する60分

申請の窓口は市区町村の相談窓口(自立相談支援機関)です。町村に住んでいる方は、県の相談窓口が受け付けます。

電話でも相談できます。まず「家賃が払えそうにない」と伝えて、使える制度を一緒に確かめてもらいます。

ステップ2収入と金融資産を書き出す30分

申請の判定には、世帯全員の収入と金融資産が使われます。給与だけでなく、失業保険や年金などの公的給付も収入に含まれます。

家計簿に収入の記録があれば、そのまま使えます。生活費の内訳の出し方にならって、支出も一緒に書き出しておきます。

ステップ3家賃が直接払われる形に合わせて書く10分

家賃補助は貸主の口座へ直接振り込まれます。自分の口座を通らないので、家計簿では収入にも支出にも書かない形になります。

自己負担が残る場合は、その額だけを家賃として書きます。書き方を決めたら、受給が終わるまで変えないようにします。

ステップ4受給が終わる月を年間収支表に書く15分

支給は原則3か月で、延長しても最長9か月です。年間収支表に、支給が終わる月と、そのとき家賃が全額自己負担に戻ることを書いておきます。

終わってから慌てないための備えです。家賃の目安は家賃の平均はいくら?にまとめています。

迷いやすい場面

失業保険をもらっている

失業保険も収入に含まれます。横須賀市の案内では、公的給付(失業保険や年金など)については各種控除がされる前の金額になるとされています。

基本手当の額は失業保険はいくらもらえる?にまとめています。受け取っていても、基準を下回れば対象になることがあります。

自営業で廃業していない

離職・廃業に至らなくても、やむを得ない休業等で収入が減り、同等の状態であれば要件が用意されています。自営業の方は、経営の改善に向けた活動が求職活動の代わりになる場合があります。

経営相談が適当かどうかは、自立相談支援機関に確認します。どちらの形になるかで、月ごとの報告の内容が変わります。

生活保護を受けている

転居費用補助は、生活保護を受けている方は対象になりません。横須賀市の案内では、支給対象者の要件の1つとして、生活保護受給者は対象とならないとされています。

家賃補助も、受給中に生活保護を受けることになった場合は支給が中止されます。どちらを使うかは窓口で相談します。

家賃が高くて基準を超える

支給額は生活保護法に基づく住宅扶助の限度額が上限です。家賃がその額を超えていても、超えた分は自己負担になります。

家賃が高いことが家計の負担になっている場合は、転居費用の補助が使えることがあります。横須賀市の案内では、家計改善支援事業の相談の結果、転居により支出の削減が見込まれると判断されて「要転居証明」の発行を受けた方が対象です。

よくある質問

Q住居確保給付金はいくらもらえますか

世帯の収入が基準額以下なら家賃額がそのまま支給されます。基準額を超える場合は「基準額+家賃額-世帯収入額」で、生活保護の住宅扶助の限度額が上限です。

Qどれくらいの期間もらえますか

原則3か月です。一定の要件を満たす場合は3か月を限度に2回まで延長でき、最長9か月になります。

Q貯金があっても受けられますか

金融資産の基準があります。目黒区の例では1人世帯552,000円、2人世帯834,000円、3人以上100万円以下です。

Qお金は自分の口座に入りますか

家賃補助は、住宅の貸主(大家)の口座へ直接振り込まれます。自分の口座には入りません。

Q仕事を辞めていなくても受けられますか

やむを得ない休業等で収入が減り、離職・廃業と同等の状態であれば対象になる要件が用意されています。収入が減った理由が、自分の都合によらないことが条件です。

Q家計簿にはどう書きますか

貸主へ直接振り込まれる分は、収入にも支出にも書きません。自己負担が残る分だけを家賃として書きます。

まとめ

  • 住居確保給付金には家賃の補助と、令和7年から加わった転居費用の補助がある
  • 家賃補助は貸主の口座へ直接振り込まれる
  • 収入の基準は「基準額+家賃額」以下、金融資産は基準額の6倍(100万円が上限)以下
  • 支給額は生活保護の住宅扶助の限度額が上限
  • 支給期間は原則3か月で、2回まで延長でき最長9か月
  • 家賃補助の受給中は求職活動などの報告が要る。怠ると支給が中止される(転居費用補助に求職活動要件はない)

しくみが分かれば、相談に持っていくものが決まります。今日は賃貸借契約書を出して、家賃額を確かめるところから始められます。

この記事で参照した公的情報

  1. 住居確保給付金について(家賃補助と転居費用補助・支給要件・支給額の計算・原則3か月で2回まで延長し最長9か月・貸主の口座へ直接振込・受給中の求職活動)
    窓口
    神奈川県
    確認日
    確認先
    https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r6w/konkyu/jukyokakuhokyufukin.html
  2. 住居確保給付金(世帯人数ごとの基準額・家賃額・収入基準額・金融資産の基準・支給上限金額・支給期間原則3か月で最長9か月・転居費用補助の上限)
    窓口
    目黒区
    確認日
    確認先
    https://www.city.meguro.tokyo.jp/fukushisougou/kenkoufukushi/seikatsujosei/juukyokakuho.html
  3. 生活自立支援(住居確保給付金・家賃補助)(支給が中止される場合=相談支援や求職活動を怠る場合・収入が一定額を超えた場合・生活保護を受給した場合)
    窓口
    横須賀市
    確認日
    確認先
    https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/2630/jiritsusien.html
  4. 住居確保給付金(転居費用補助)(支給対象となる経費・要転居証明・生活保護受給者は対象外)
    窓口
    横須賀市
    確認日
    確認先
    https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/2630/jyuukyohik.html

この記事を書いているのは

Mirai Kanaiは、家計を見えるようにすることを目的とした個人向けの家計簿サービスです。運営するMove for People株式会社は、家計が見えていないことが、使える制度を逃したり、対処が遅れたりする原因になっていると考えています。

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この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。特定の金融商品の推奨や、個別の投資判断に関する助言を行うものではありません。公的制度の要件・金額は変更される場合があり、自治体によって異なります。実際のご利用にあたっては、必ず公式の窓口でご確認ください。